2022年度公立高入試 合格発表

3月16日、各公立高の合格発表が行われました。
合格された受験生の皆さんに、心からお祝い申し上げますとともに、進学後のさらなる努力と活躍を期待いたします。

公開されているデータをもとに、これまでの状況を分析した内容をお知らせしたいと思います。

概況

市内普通科3高および工業・商業については、いずれも定員通りの合格者となりました。今年度開設の函館中部高・理数科が定員割れを起こし、普通科志望者からの合格が出ています。

今回の入試において特筆すべきは、函館工業・函館商業における「第1志望以外の学科」への合格(転科合格)が多数発生した点です。翌年度以降の受験高決定にも大きく影響を与える可能性を示唆しています。

出願科別の合否状況

函館工業・函館商業について、単純に「出願者数」と「合格者数」だけを見ると、

函館工業・工業化学

⇒出願者49名/合格者35名=倍率1.40倍
函館商業・国際経済

⇒出願者38名/合格者37名=倍率1.03倍

となりますが、いわゆる「転科合格」が多数発生しているため、実際の合否を分析すると、倍率が一変します。

合格者の受験番号から推定した志望科別の合格者数をまとめたのが上の表になります。


例えば、函館工業・工業化学科の合格者35名のうち、他の科からの転科合格者が12名にのぼり、工業化学出願者49名中、合格者は23名となり、実質の合格倍率は2.13倍と極めて厳しい勝負だったことがわかります。
逆に、函館商業・流通ビジネス科では、出願者44名に対し、転科を含めた合格者は40名と、当日欠席を考慮するとほぼ全員合格だったと見られます。

23年度入試に向けて

「理系」進学希望者は「中部高理数科」に是非チャレンジしよう!

2022年度入試より新設された「函館中部高・理数科(40名)」ですが、出願前の予想に反し、定員割れが発生する状況となりました。

本来であれば、私立高における「特進コース」の理系に特化したイメージに近いのが公立高理数科になります。理系の国公立大・難関私大を目指す生徒にとって、魅力的かつ実益的な進路となるものです。全国の受験生がライバルとなる大学受験において「中部理数科合格」がひとつのハードルと言えるでしょう。

あえて厳しい言い方をすれば、『「中部理数科に合格できるか自信がない」と言った弱気な姿勢で、国公立大理系入試に耐え得るのか?』ということに尽きます。理系大学を目指す受験生には、志高く、理数科合格を目指し、努力をしてもらいたいと切に願います。

入試テクニックの話で言えば、同一校に複数学科がある高校では、「第一志望」「第二志望」を決めて出願できますので、理系志望の受験生は理数科を第一志望に記入して受験に挑戦し、普通科での合格も視野に入れる、という方法ができるわけですから、挑戦することによって不利益はありません。

もちろん、まだ中学生の段階で、自分が将来どういう方向の進路を選ぶかわからない、という受験生も多いと思います。理数科に進学し、理系に決めてしまうことに不安がある場合は、あえて理数科を受験する必要はありませんが、目標ラインとしては「理数科合格(=普通科上位合格)」を設定し、受験勉強に励むという姿勢を期待します。

少なくとも、函館工業高専を併願する中部高志望者は、理系の進路を前提にしているはずですので、理数科を第一志望とすべきではないか、と感じます。

市立函館高の定員減に要注意!

2023年度入試より、市立函館高の定員が40名減の200名になる予定です。

ここ数年の進路指導の傾向として、定員減を考慮しない出願が行われているように思われます。(西・稜北の統合で「新・西高」の定員が2倍になったのに志望者数が2倍にならない、商業・流通ビジネスが半減したのに、志望者数がほとんど減らない、など)

定員の6分の1がカットされるわけですから、単純化すれば、今年までは12人合格していた中学校からは10人しか合格できなくなるという計算です。その部分をしっかり考慮し、受験対策に臨んでほしいと思います。校内だけではなく、学区内での自分の位置を把握する意味で、北海道学力コンクールの受験をぜひおすすめします。大手塾も参加を始めていますので、受験者の母数で最も信頼性があるといえます。

工業高・商業高は、「倍率」よりも「実力」

上でも述べた通り、2022年度入試では工業高・商業高で、いわゆる「転科合格」が例年以上に発生しました。

志望学科の選択で、「前年倍率が低かったから」「ボーダーラインが低いから」という理由で、特定の科を選ぶケースがよく見られます。
確かに、転科合格が発生しているという点において、他の科よりもボーダーラインは低いとは言えますが、2022年度入試の状況を見ると、だからと言って「合格しやすい」というわけではないことがわかるかと思います。いくら第1志望でも、他科志望者よりも下位になれば不合格になっていますから、あえてその科を志望する理由にはなりません

志望学科の選択は、あくまで「自分が行きたい」順で決め、その上で、どの科であっても合格できる力(内申点・当日点)をつけることが必要である、という本来の進路選択のあるべき形に近づいていると言えるでしょう。

高みを目指し、挑戦する勇気を!

近年の入試動向を見ると、「弱気出願」の傾向が顕著に感じられます。

顕著な例では、「推薦志願者の減少」があります。学習指導要領改定による評価基準の変化や、コロナ禍で部活動等が思うように成果が上げられなかったことなども影響しているのかもしれませんが、それ以前から標準枠以下の出願者しか集まらない状態が続いています。
第一志望とする高校なのであれば、推薦出願の可能性を考えてみてほしいと思います。仮に推薦で内定とならなくても一般入試は普通に受験できるわけですから、損はありません。

また、私立高受験においても、上位コース出願を考慮してほしいと思います。遺愛(特進・英語)や有斗(特進)など、上位コース受験者は、基準さえ超えていれば一般コースでの合格となります。受験科目数に差はありますが、公立第一志望なら5教科の対策を行っているはずです。

函館高専の併願も検討に値します。例年通りであれば、私立高入試よりも先に実施されますので、多くの受験生にとって、一番最初の入試になります。入試本番の空気を体感するだけでも意味はありますし、出題形式もいわゆる「新傾向」型が多いため、公立新入試の対策にも十分役立ちます。また、その後の進路を考えても、決して公立進学高に見劣りせず、魅力的な選択肢と言えます。

なお、繰り返しになりますが、函館中部志望者で、理系を目指す受験生は、ぜひ「理数科」での受験に挑戦してほしいと思います。

上にあげたものは、すべて「挑戦してもマイナスにはならない」ものばかりです。

「どうせ無理」と諦める必要はありません。ダメでもともと、いっそ挑戦してみませんか? 挑戦するからには、少しでも可能性を高めておきたいですよね。そのための努力・工夫が、もともとの志望高への合格可能性を高め、自分の実力を高めることにつながります。また、ここで培われるものは受験のみならず、進学後の学びにきっと活かされるはずです。そしてその結果、自分がもともと抱いていたよりも良い結果が得られれば、それはそれに越したことはないのです。

「不合格を突き付けられてショックを受けたくない」という受験生もいることでしょう。確かに、結果として突き付けられるのは嫌なことですし、それくらいなら、自分の心の中で諦めて、悪い結果が出そうなことをあらかじめ避けた方がいいと思うのも無理はありません。しかし、仮に諦めずに臨んだとしても、想定されるうち、最悪な場合でも「最初から諦めたときと同じ結果」どまりです。それより悪くなることはありません。事前にあらゆるケースを想定しておけばいいだけです。推薦で不合格になるかもしれない、特進で合格できないかもしれない、高専が不合格になるかもしれない・・・、それらを事前に理解し覚悟しておけば、本筋の志望高合格へのルートには何ら影響はありません。

志高く、自分の可能性を広げ、高みを目指して、勇気を持って挑戦する受験生を、学習塾ライズでは、心の底から応援したいと思っています。

挑戦したい「気持ち」を、具体的な行動計画に変え、実行する場所と手段を提供するのが、塾の使命・存在意義だと考えています。共に頑張っていきましょう。

22年度高校入試 今後の日程

3月17日(木) 公立
一般
追加合格の連絡
3月18日(金)公立2次募集人員の発表
~3月28日(月)公立2次募集の合格通知
8月公立入学者選抜状況報告書の発行